本日発行の「園だより11月号」に掲載した「園長のひとりごと」です。かなり加筆してあります。
10月23日に起こった中越地震、新潟・長野地方に大変な被害を及ぼしました。被災者の方々には心からお見舞い申し上げます。ほとんど何もできない自分を歯がゆく思っています。 まだ悲しみや不安が癒えぬ段階ですが、ニュース映像などを見て、日本人のすばらしさを感じたことがひとつ。暴動、略奪などが起こらなかったことです。 他の国では、このような大災害が起こるとそのようなことが起こります。でも、日本人は歴史的に人を思いやる心、集団を大切にする心が強いためか「自分だけが良ければいい」とはあまり思わないようです。 日本社会が経済(損得)ばかりを重視するようになり、日本人の心もだんだんと変わってきて自分の欲望のためには他人のことなど知ったことではないという風潮も出てきましたが、まだまだ捨てたものではない、私も見習わなければと強く思いました。 これを書いたのは、まだ皆川さん母子が見つかる前の時点。心がささくれる前のことでした。その時点でも、子どもが何人か亡くなっていたのですが、まだ実感が伴っていたなかった。自分の心の狭さを感じます。 本文の「日本社会が経済(損得)ばかりを重視するようになり」ということについては以前から危機感を感じていました。 子育てを損得で評価した結果、「子育ては大変なだけで儲からない、だから子どもを産まないで働く」という女性が多くなり、その風潮に対して政治や経済界は「それでは将来の労働力がいなくなって損だ。でも女性の(安い)労働力は得だ」と考え、「大変な子育てを肩代わりする施設をたくさん作るから、働きながら子どもを産んでね」という対策を考えたわけです。 でもいったん「子育ては大変」という雰囲気を(政治や経済界もいっしょになって)作り上げてしまったら、女性は「ああ本当に子育ては大変なのね。じゃあやっぱりやめておこう」と思うのも当然です。 エンゼルプラン、少子化対策、次世代育成と、名前を変えながら同じ手法の対策を続けてきて、その結果が「合計特殊出生率1.29」となったわけです。 子育ては経済で考えるべきでなく、「文化」の視点で考えるべきです。子育ては普通の「経済的」仕事と比較するべきではありません。こんなに有意義な営みは、ほかにないといってもよいと思います。
by cotets
| 2004-10-29 20:07
| 園長のひとりごと
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